
「内」と「外」とは。屋内と屋外、心と肉体、地球と宇宙、人工と自然。ところがその言葉は「物理的な事柄」だけには収まらない。例えば家と学校、家族と友達、陰気と陽気、社会と自由、シンプルにいえば自分と他人だったりする。人は「内」と「外」を判断し境界線を引く。それは知恵がある故どうしようもない。けれどもひどく苦しく感じる一瞬がある。その隔たりに絶望を感じる人もいる。
今回はこの時代にうまれたわたしたちにとって今考える必要があること、「内、すなわち外」を題材にしました。今一度、今日のわたしたちの在り方を考えてもらいたい。それはわたしたちを救う言葉になるかもしれない。それはわたしたちが大切にすべきことかもしれない。わたしたちは本当に内側にいるのか。はたまたそこは外なのか。それともあらかじめ決まっている場所なのか。
この時代にうまれたわたしたちは、感覚を研ぎ澄ませる必要がある。「内側」にあるもの、「外側」にあるもののその先を注視し認識出来れば、それらが理解を越えた形状を成していることに気付くはずです。
同門で表現を学びながらも油絵と彫金という全く異なるジャンルに属し、異なる人生観を見つめる私たちが、この度短くはないが長いとは言えない生の中で定義した互いにとっての「内と外」を表現しました。今、この変革の時代に生きるわたしたちに必要なものを、共に感じて共に探って頂ければ幸いです。
牛込美輝/Miki Ushigome
1996 兵庫県神戸市生まれ
2015 兵庫県立明石高校美術科 卒業
2019 武蔵野美術大学油絵学科油絵学部 卒業
2012 全国絵画選抜展 文部科学大臣賞受賞
2014 神戸市民美術展 入選
2021 ACTアート大賞展 入選
一つの作品に対峙または混在する世界が描かれることが多い。作者自体が過去または現在にも続く精神疾患、神経症の経験、そこから導き出した人生哲学を下に「真理」を描き続ける。
小俣レイコブ彩/Aya Racov Omata
1996 静岡県生まれ
2000 イギリスへ移住
2006 帰国
2019 武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科クラフトデザインコース金工専攻 卒業
2018 「ELECTRICITY」展 Galeria mano a mano(東京都小平市)
2018 「Juntos con… 」展 大菅商店(富山県高岡市)
写真や異素材を交えたコラージュを用いて自らの視点から観察した人間の感情を表現する。人間へ抱く悪感情を人間を理解し作品に昇華させることで克服を試みる。